Swan Styleの5月 2017

お知らせ

サービスの達人たち 「戦後最高」カフェ店主の神接客

サービスの達人たち 究極のおもてなし(著者 野地 秩嘉氏)のご紹介 2

シネマッドカフェ (墨田区押上)店主 齋藤尚之氏 のエピソードです。

日本にしゃぶしゃぶ文化を根付かせた「ざくろ」や
赤坂のイタリアン「グラナーダ」在籍中に

接客に厳しい同業者や水商売のママたちから
‘あの人は最高よ’
と言わしめる齋藤氏。

「戦後最高の神接客」と野地氏は著書の中で紹介しています。

齋藤氏が心がけていた神接客とは、例えばこのようなことです。

・店内で従業員同士が並んで立たない
・手持無沙汰なときは30秒ごとに立ち位置を変える

それには明確な理由がありました。

P59より引用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「従業員同士が寄り添って話をしているだけで
自分のことが話題になっているのではないかと疑心暗鬼になります。
ですからお客様の気持ちを察して並んで立たないようにしたのです。」

(30秒ルールの理由)
「ウェイターに必要なのは身のこなしが早いこと。
テーブルに向かう際、直立している状態から動き出すのと
動いている状態から行くのではスピードが違います。
そこで、常に動くようにしたのです。」

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これを読んだとき
私はここまで考えて接客をしていただろうか、と思いました。

確かにレストランという空間で
スタッフ同士が話をしている様子を見ると
それが仕事に関することであったとしても
なんとなく目につきます。
違和感と言い換えてもよいかもしれません。

それをあらかじめ排除しておく。
オペレーション的には手間が増えるかもしれませんが
レストランという非日常の空間でお客さまにとっては
それが自然です。

また私が客として利用しているとき
個人的にストレスを感じるのは
スタッフを呼ぶ行為です。

「すみません」と声を出し
時には手をあげたりしなければならない場面は
実はあまり好きではありません。

スタッフが常に動き回り、フロア全体を見渡してれば
お客さまのちょっとした目線や、体の動きで
先手で察し、近づくことができるので
お客さまが声をあげることはほとんど無くなるでしょう。

「見る」ことの大切さを理解しているサービスマンはいると思いますが
「動いている」ことのメリットまで理解している人は
少ないのではないでしょうか。

感動の先手行動は「見る」+「動き」で生まれるのですね。

そしてこれら神接客は
徹底してお客さまの立場に身を置いて考えるからこそ
気が付くことだなとも
思いました。

そして齋藤氏は
そのためにも 自分が客として
身銭を切ってサービスを受けてみること大切さを伝えています。
まさにサービスの良さ、悪さが「身に染みる」のだそうです。

身に染みるから
客として自分が嫌な気持ちになったことは
自分ではやらないし
いいなと思ったことはすぐ取り入れる。
それをさらに高次元に持ってゆくための研究も忘れないのですね。

この章の中には
ザクロやグラナーダで諸先輩方から教わった
接客の基本、イロハの具体例が数多く語られています。
それを読むだけでも勉強になります。

現在店主をされている押上のカフェは
19席程度のこじんまりとした 居心地の良い空間だそうです。
近く、訪問してみたくなりました。